「傾聴とは、話し手のフォーカシングを支援する関わりである」
この定義を起点に「傾聴とは何か?」を解説しています。
ここまでの流れを簡単に振り返ってみましょう。
フォーカシングとは、フェルトセンスにぴったりくる言葉を探す現象。(自然発生的)
支援とは、フェルトセンスにぴったりくる言葉を「探す」お手伝いのこと。※「見つける」ではなく「探す」
フォーカサーを理解しようとする
今回は、最後の「関わり」の部分です。
具体的に、どのような関わりが、支援(=フェルトセンスにぴったりくる言葉を探すお手伝い)になるのでしょうか?
一言で言うと、「フォーカサー(話し手)を理解しようとする」関わりということになるでしょう。
しかし、いくら「フォーカサーを理解するため」と言っても、なんでもかんでも、フォーカサーに対するリスナーの疑問を解消すべく関わればいいというものではありません。
リスナーの関わりは、あくまでフォーカサーの主体的、能動的なフォーカシングを支援するためなのです。
①フォーカサーの視点を尊重する
そのためには、フォーカサーの視点、つまり、フォーカサーの注意が今、どこ(何)に向かっているのかを、正確に把握する必要があります。
言い換えると、「フォーカサーの視点を尊重する」ということになります。
フォーカサーの視点を尊重するためには、話(言葉)を注意深く聞くことはもちろん、フォーカサーを注意深く観察する必要があります。
このようにして耳だけでなく目もフルに使って話を聞いていると、イメージが浮かんだり、感覚的に伝わってくるものを感じたりすることがあります。
ここまでが「理解しようとする関わり」の半分です。
②理解を確認する
残りの半分は、上記のように注意深くフォーカサーの話を聞いて理解できたことや、伝わってきた感じなどを、フォーカサーに確認することです。
いくら注意深く聞いていたとしても、ただ黙って聞いているのでは「関わっている」とは言えません。
また、フォーカサーを「理解しよう」と思えばこそ、確認する必要も同時に発生するのです。
もし、確認せずに、リスナーの一方的な理解(思い込み)で済ませてしまうのであれば、本当に全力で「理解しようとしている」とは言えないかもしれません。
リスナーの理解をフォーカサーに提示し、合っているかどうか確認します。
リスナーの理解を確認する応答は、一般的にTU(理解の試み)と呼ばれます。
このTUによる確認作業こそが、「結果的に」フォーカシングの支援になるのです。
この「結果的に」というところが、傾聴の一番面白いところであり、フォーカサー(話し手)の体験を通してしか理解できないところでもあるのです。
まとめ
まとめます。
フォーカシングを支援する「関わり」とは、フォーカサーを理解しようと関わること。
そして、理解しようとする関わりとは、
フォーカサーの視点を尊重すること。
リスナーの理解をフォーカサーに提示し確認すること。
そのことが、結果的に、フォーカサーのフォーカシングを支援していきます。
言い換えると、話し手のフェルトセンスにぴったりくる言葉を探すお手伝いになっていくのです。
全て理解した上で、あえてTUに集中する。
そこもまた、傾聴の奥深いところだと思います。
結論、「傾聴とは、フォーカシングを支援する関わりである」
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