こんにちは、L&Cの田村です。
傾聴の実践・普及を通じて、「 私が私らしくいて、あなたらしさを認めている、相互承認の社会づくり」を目指します。
「なんでこんなに腹が立つの?」――フォーカシングで怒りとやさしく向き合う
日々の暮らしの中で、「なんでこんなことでこんなにイライラするの?」って、自分の怒りにびっくりすることってありませんか?
- 思わずキツイ言葉を言ってしまった
- 心の中で何度も同じ場面を思い返してモヤモヤしてしまう
- 「怒ってはいけない」と思うほど、余計にしんどくなる
そんなときに、怒りを無理におさえこまず、やさしく向き合える方法が「フォーカシング」です。
怒りは、ほんとうはやさしい気持ちのサイン
怒りって、とてもパワフルな感情です。
でも実は、その奥にはもっと繊細な気持ちがかくれていることが多いんです。
たとえば…
- 「わかってもらえなくて、さみしい」
- 「本当は怖かった」
- 「自分を守りたかった」
怒りは、そういう大事な気持ちを伝えようとしてくれている“メッセージ”なのかもしれません。
フォーカシングで怒りに寄り添ってみる
では、実際にどんなふうに怒りと向き合えばいいのでしょう?
フォーカシングでは、まず「今ここ」にある自分の身体の感覚にそっと注意を向けてみます。
やさしいステップ
- 静かな場所で、ひと呼吸。
ゆっくりと息を吐いて、落ち着ける場所に座ります。 - 怒りを思い出したときの体の感じを探してみる。
たとえば「胸が熱くなる」「お腹が重い」「肩がこわばってる」など、身体のどこかに“その怒りの感じ”があるかもしれません。 - その場所にそっと寄り添う。
「そこにいるのはわかってるよ」「ちゃんと気づいてるよ」と、あたたかく見守るような気持ちで。 - その感覚に、やさしく聞いてみる。
「何がそんなにイヤだったの?」「どんなことを伝えたかったの?」
すぐに答えが返ってこなくても大丈夫です。
その感じとしばらく一緒にいるだけで、心の中に少しスペースが生まれてきます。
フォーカシング日記 ― 怒りと向き合うためのやさしい書き方ヒント
怒りの感情を日記に書いてみると、自分でも気づいていなかった気持ちに出会えることがあります。
ここでは、フォーカシングの考え方をとり入れた、やさしい書き方のヒントをご紹介します。
1. 今日あった「ちょっとイライラしたこと」をひとつ思い出してみる
書くのは小さなことでかまいません。
例:
- 〇〇さんに無視されたように感じた
- 忙しいのに頼みごとをされた
- 頑張ってるのに評価されなかった など
2. そのとき、体のどこかに“感じ”はあった?
- 胸がドキドキした
- 肩がガチガチに固まった
- のどの奥がつまるような感じ など
→ できれば「その感じ」に短い名前をつけてもいいです(例:もやもやさん、カッとなるくん、など)
3. その“感じ”に、やさしく声をかけてみる
- 「どうしたの?」
- 「なにがそんなにイヤだったの?」
- 「本当はどうしてほしかったの?」
4. 思いついたことを、そのまま書いてみる
正しい文章じゃなくてOKです。話し言葉でも、単語だけでも大丈夫。
5. 最後に、自分にひとこと
- 「教えてくれてありがとう」
- 「ちゃんと気づけたね」
- 「また聞かせてね」
この日記は、誰かに見せるものではありません。
怒りを手放すためではなく、怒りの奥にあるほんとうの気持ちに出会うための、やさしい対話の時間です。
もし書けなかった日があっても、自分を責めなくて大丈夫。
「今は聞く準備ができてないんだな」と、そっと見守ってあげてくださいね。
自分の怒りの「味方になる」
怒りは、あなたの一部。
「こんな感情、なかったことにしたい」と思うかもしれませんが、怒りには怒りなりの“大切な理由”があるのです。
フォーカシングを通して、その理由にそっと耳をかたむけてみると、
「そうか、私は大事にされたかったんだな」
「ちゃんと見てほしかったんだな」
そんな気づきがやってくることもあります。
怒りは、あなたの敵ではありません。
それは、あなたの心からのメッセージです。
まずは一度、その声にそっと耳をかたむけてみてください。
今日も、自分にやさしくいられますように。
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