「傾聴とは、話し手のフォーカシングを支援する関わりである」
この定義を起点に、引き続き傾聴を解説していきます。
前編では、「フォーカシングとは何か?」を解説しました。
今回は、「どうなれば支援したことになるのか?」について解説します。
フォーカシングはセルフが基本
フォーカシングでは、話し手をフォーカサー、聞き手をリスナーと言います。
つまり、フォーカシングは、フォーカサーがするもの(話し手に自然に起きる現象)なのです。
この点が、カウンセリングやコーチングと明確に違うので、注意が必要です。
カウンセリングやコーチングは、基本的にカウンセラーやコーチが提供するものです。
だから、クライアントひとりで行う場合、セルフカウンセリング、セルフコーチングなどと、あえて「セルフ」と付けて区別します。
一方、フォーカシングは、クライアントひとりで行うのが基本です。(というか自然現象です)
つまり、セルフフォーカシングが基本なのです。
リスナーのガイドがフォーカシングを支援する
リスナーはフォーカサーをガイドすることがあります。
リスナーのガイドによって、話し手は(セルフ)フォーカシングが行いやすく(起きやすく)なります。
このことが、すなわち「支援」になります。
支援とは「探す」手助け
ここで、もう1つ注意すべき点があります。
それは、「フォーカシングの支援」とは何か?ということです。
前編で、フォーカシングは「フェルトセンスにぴったりくる言葉を探す現象である。」と定義しました。
ポイントは、言葉を「見つける」ではなく、「探す」となっている点です。
つまり、フォーカシングの支援とは、「見つける手助け」ではなく、「探す手助け」なのです。
プロセスを支援する
「見つける」と「探す」の違いを理解していることはとても重要です。
つまり、答えや正解など、ゴールにたどり着くことへの支援ではありません。
そもそもたどり着くべき正解など、リスナーはもちろん、フォーカサー自身も分からないのです。
だから、できることと言えば、探す作業、そのプロセス自体への支援なのです。
そして時々、その探すプロセスの中で、何かが見つかったような、たどり着くべき場所にたどりついたような、そんな感覚を得るときがあります。
その感覚を持って、結果的に「今回の答えはこれだった」と理解するのです。
フォーカシングと体験過程
支援する対象は、「探すプロセスそれ自体」になります。
この「探すプロセスそれ自体」がフォーカシングであり、「体験過程」と呼ばれる現象でもあるのです。
このように展開してくると、冒頭に戻って、フォーカシングが本来フォーカサー一人で行われるものであり、自然発生的に起きる現象というのも、つかめてくるのではないかと思います。
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